女子高生コンクリート詰め殺人事件を題材にした映画、「コンクリート」(監督/中村
拓)が話題を集めている。
神作容疑者逮捕報道の時期と、映画の限定公開のタイミングが同じだったこともあるのだろううが、やはり、話題の中心は映画の内容そのものについてであろう。
公式ホームページを見ると、「近年増加する少年犯罪を社会問題として提起し、少年達の未来に対して警鐘をならし、、、」とある。
こういったテーマに対してなら、別の題材を選ぶこともできるだろうし、なぜこの事件なのだろうか?という疑問を感じた。
私は、Jさんの追悼をしたく、江東区の現場に足を運んだのだが、製作者の人たちは、現場に足を運んだりしたのだろうか?
もし、現場に自分の足で立ち、目を閉じ、事件のことを考え、遺族の方も、「事件の事は忘れたい」という状況を踏まえたら、この事件を取り扱うことに躊躇するのが普通ではないのだろうか。
それでも、少年犯罪うんぬんといった、製作者側のメッセージを伝えるには、この事件でなければだめだったのだろうか?
それにしては、例えば、遺体遺棄のために、コンクリートを練ったり、遺体の入ったドラム缶を転がしたりするシーン等を見ても状況設定(描写)の甘さがあるように思う。
予算や、人員等の関係もあるのだろうが、中途半端さを感じざるを得ないのである。
「中途半端な事をするなら、最初からやらないほうがいい」という言葉があるが、まさにこの言葉の通りなのである。
また、この映画のベースになっているのは、渥美饒兒の「十七歳、悪の履歴書」であるが、もう少し被害者側に立った、門野晴子の「女子高生コンクリート詰め殺人事件(彼女のくやしさがわかりますか?)」等だったら、また違った作品になったであろう
犯人たちの家庭環境に触れている反面、被害者側に立った視点が少なく、結果として、バランスに欠けているのである。
いろいろな「中途半端」が重なり合ってしまい、非常に大きなテーマを扱う割には、「薄っぺらさ」だけが目だってしまっているのが、たくさんの批判を受ける要因なのであろう。
追記:製作者側が用意していたネット掲示板が7月24日頃終了した模様だ。
賛否様々な意見があり参考にしていたが、ビデオの発売と時を同じくして終了とは残念である。
ビデオを見てより多くの批判意見がくることを予測し終了させてしまったのだろうか。。。
映画コンクリート公式サイト
http://www.benten.org/concrete/
映画批評「コンクリート」10点(売り手側の色気をすべて見透かされた)
http://movie.maeda-y.com/movie/00316.htm
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